長寿のためのコレステロールガイドライン:日本脂質栄養学会2010

11 3月

2010年に日本脂質栄養学会より出された長寿のためのコレステロールガイドライン要旨からさらに要点をリストアップしてみました

総死亡率が最も重要なエンドポイントである

コレステロール摂取量を増やしても血清コレステロール(TC)値は 上がらない
これは最近2015年になって厚労省もコレステロール摂取制限を撤廃しましたね

“高リノール酸植物油の摂取を増やし動物性脂肪とコレステロール の摂取を減らす”という従来の栄養指導は、むしろ心疾患、癌などを増やす危険性が極めて高く、これを勧めない

血清コレステロールの心疾患に対する相対危険度は調査集団によ り大きく変わる。集団中の家族性高コレステロール血症(FH)などの割合が クリティカルな因子であると解釈すると、この変動性が合理的に説明できる可能性がある

コレステロールの基準値を決める上で最も重要なエンドポイントは総死亡率である。40~50 歳以上、あるいはより高齢の一般集団では、TC 値の高い群で癌死亡率や総死亡率が低い。これらの集団には、コレステロー ル低下医療やコレステロール低下をめざした食品を勧めない

女性に対するコレステロール合成阻害薬、スタチン類の使用は不要とされてきたが、男性に対しても医師の合理的な判断による特別なケースを除き、動脈硬化性疾患予防にスタチン類は不適切であり、勧めない

血清コレステロールの善玉(HDL-C)・悪玉 (LDL-C) 説は、その根拠が崩れた
一般集団では LDL-C 値の高い群のほうが総死亡率は低い(長生きである) ことがわかった。また、コレステロールエステル輸送タンパク阻害薬はHDL-C 値を有意に上昇させ LDL-C/HDL-C 比を下げたが、逆に総死亡率を上げた。スタチン類は LDL-C を顕著に下げたが、心疾患予防効果は認められなかった。LDL-C を悪玉とし HDL-C を善玉とする説はコレステロールの 体内動態を単純化しすぎており、使わないよう勧める。

中性脂肪値が 150mg/dL 以上でも脂質異常症とはいえない。一般集団では、中性脂肪値の高い群のほうが総死亡率は低いという結果も報告され た

動脈硬化性疾患およびその他の炎症性疾患を予防するためには、ω 6 系脂肪酸の摂取量を減らしω3 系脂肪酸の摂取を増やすことを勧める

家族性高コレステロール血症などの先天性遺伝因子をもつ人に 勧める脂質栄養
→FH など先天性遺伝因子を安全になおす手段は確立されておらず、残念な がら非 FH に比べて平均寿命は多少短い。スタチンなど薬物によりLDL-Cを低下させても心疾患予防には結びつかなかったが、これら先天性遺伝子因子を持つ人にも、”ω3 系脂肪酸の摂取を増やしω6 系脂肪酸の摂取を減らす”という食事療法が勧められる。

脳卒中はコレステロールや動物性脂肪摂取の多い群、血清脂質レベルの高い群ほど発症しにくく、脂質レベルの高い群のほうが予後は良好である

わが国の食環境でみられる植物油脂の供給増の方向は危険である。動物に有害作用を示す植物油脂の代わりに動物性脂肪を肥満にならない程度に摂取すること、またそれを可能とする食環境作りを勧める

「動脈硬化性心疾患予防ガイドライン2007年版ー日本動脈硬 化学会」の問題点
→日本動脈硬化学会委員会は LDL-C ≧140mg/dL、HDL-C<40mg/dL、中性 脂肪≧150mg/dL を基準値として脂質異常症を定義した根拠を示している。 しかし、年齢、性別、先天性遺伝因子をもつ人の割合などが適切に考慮されておらず、データそのものも対象者数が少ないため信頼性の高いものではな い。この基準値を一般集団に適用することは、むしろ健康長寿を損なう危険 なものとなっている

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