たばこはそんなに悪いのか:喫煙文化研究会

10 6月
 

タイトルから想像すると喫煙者の不満がぎっしりつまっているだけの本かと思いきや・・・。なんのその、禁煙運動の欺瞞を統計学的にも歴史的にも明らかにしていきます。

以下、内容の要約です

「ジャパニーズパラドックス」日本人の平均寿命はこれから下がってくるのか?

日本人男性の喫煙率はこの50年間で82%から30%台へ低下したが、女性は20%未満でずっと横ばいである。しかしながら、平均寿命は男性・女性ともに伸び続けている。これは喫煙と寿命に関係がなさそうだという事が言える。(男性の喫煙率は低下しているのであるから、男性の寿命の伸びがもっと良くなったはず)
世界で最も喫煙率が高い日本人男性の寿命が、世界で最も高いレベルにある。
これに対する反論(NHKでも解説委員がもっともらしく言ってましたが)は「喫煙の影響は20ー30年経ってから現れるので、喫煙率が高い日本男性の寿命はいずれ低下する」という反論です。しかし、男性の喫煙率が80%を超えていた頃からすでに50年が経過していますが日本人男性の平均寿命はいっこうに低下せずに上昇し続けています!

これを「ジャパニーズパラドックス」と呼んでいるそうですが、もともとフランス人が肉ばっかり食べているのに虚血性心疾患での死亡率がヨーロッパで最も低いため「フレンチパラドックス」と呼んだことになぞらえています。これは当たり前で、肉が虚血性心疾患の原因となるという前提自体が間違っているから壮なるわけでパラドックスでも何でもないのです。たばこも全く同じです。

疫学調査の欺瞞

通常の医学臨床研究ではランダム化比較試験RCT:Randomized Controlled Trialを用います。製薬会社が開発する様々な薬が本当に効果あるのかどうかを判定するのには必須の試験です。
一方、たばこについては、すでに「体に悪い」であろうことが巷に流布されていますので、ランダム化比較試験は倫理的にできないという現状があります。
そこで疫学研究(コホート研究)がなされることになるのですが、疫学研究の結果はあくまでもAとBに相関関係があることを見いだすだけです。決して因果関係があるとは証明できません。たとえば、「朝食を食べる子どもは食べない子どもよりも学校の成績がいい」という結果がでても、朝食を食べると成績がよくなるという「因果関係」は証明されません。普通に考えても、朝食をしっかり食べさせる家庭の教育水準が高いのではないか?とかいろいろ考えられるわけです。
疫学調査の結果を因果関係ありと短絡的に判断することはまったくもって欺瞞なのです。

相対リスクについて

疫学研究で使用される危険性のことで、曝露群と非曝露群で危険性が何倍あるかを「相対リスク」といいます。

> アメリカの疫学者には、個別研究については相対リスクが3ー4倍あることが認められて初めて意味があると言う人が少なくありません。食品・医薬品局薬品評価部長のR・テンプルは、「原則として相対リスクが少なくとも3−4倍なければ、そんなものは忘れろ」といいます(G・トーベスの「疫学は限界に直面している」から)。しかし、実際には1ー2倍程度の相対リスクしか見られなかったような疫学研究がメディアを賑わせています。

上記以外にも「統計学的な欺瞞」をひとつひとつ論じていて、読み物としても知的満足度がとても高い本でした。目から鱗が落ちる一冊です。

↓面白かったと思ったらぜひクリックお願いします↓


健康と医療ランキング

このエントリーをはてなブックマークに追加
[`evernote` not found]
LINEで送る

コメントを残す