コレステロールの嘘「最近はLH比が重要と言われています」というプロパガンダ

22 8月

 最近、LDLコレステロール値だけでは、心血管疾患の発症との関連が怪しくなってきたため「LH比が大事だ!」という主張をよく聞きます。

以下の論文を引用してみましょう

動脈硬化性疾患発症予防における LDL/HDLコレステロール比の臨床的意義と管理目標値の検討  2010 桝田  出 より

実際、佐久間らは、急性心筋梗塞症(AMI)患者の54.8%がLDL-C 120mg/dl未満で、健常群よりもLDL-Cが低いにもかかわらずAMI発症に至っていることを報告しており、横井も我が国のガイドラインのLDL-C管理目標値を達成しているにもかかわらず急性冠症候群(ACS)を発症する患者が存在することから、LDL-Cだけを脂質管理の指標とするとACS発症リスクを見逃す可能性があると指摘している。

引用論文は以下です

佐久間一郎,岸本憲i,浅島弘志他:LDLコレステロールが宿病の急性心筋梗塞症例が有する脂  質の特徴:一般住民健診受診者を対照群とした検  .人間ドック24:129-136,2009. 

横井宏佳:急性冠症候群(ACS)を未然に防ぐた  めの脂質管理一量から質への転換;LDL-C/HDL C比が意味するもの一.Pharma Medica 26:173 177, 2008.

だから、今度はLH比が大事じゃないかという発想が生まれたみたいです。

ただ、このLH比に関してもLDLコレステロールと同じでLH比を下げたら心血管疾患の発症や死亡率を下げるというエビデンスはいまのところありません(あったら教えて下さい)。LH比を下げたら予防できるのではないか?という淡い期待だけです。

これも単にコレステロール低下薬(スタチン)を処方するためのプロパガンダに過ぎません。

悪質なのは、LDL値が低くてもLH比が高ければスタチンを処方する理由になっていることです。

下のグラフは

「動脈硬化指数としてのLDL-C/HDL-C比の基準範囲 設定の試み」 崎元眞知子2012で掲載されていたグラフです(赤線と丸数字は私が追加してます)
論文中で、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007 年版)の診断基準に基づき、脂質異常症の定義を(LDL-C 140 mg/ dl以上, HDL-C40 mg/dt未満, TG 150 mgldl以上)としています。

LH_ratio

① LDLコレステロール値140mg/dl以上でLH比が2.5未満
② LDLコレステロール値140mg/dl以上でLH比が2.5以上
③ LDLコレステロール値140mg/dl未満でLH比が2.5未満
④ LDLコレステロール値140mg/dl以上でLH比が2.5以上

①と②はLDL高値のためスタチンの適応となりますが、LH比を導入することによって
④の人々、すなわちLDLは高くないけどLH比が高い人々に対してもスタチンを投与するという理由づけができるのです。

このエントリーをはてなブックマークに追加
[`evernote` not found]
LINEで送る

One Reply to “コレステロールの嘘「最近はLH比が重要と言われています」というプロパガンダ”

  1. J-CASTニュースの記事はテレビ番組を見た人の感想文のようですが。国語力の低下を懸念させられた。コレステロールの低下を論ずる前に学力の低下を危惧すべきと思います。読んでいてあまりのひどさに憤りよりも先に憐れみを禁じ得なかった。

コメントを残す