食物繊維と便秘に関するエビデンスはあるのか?

4 8月
RyanMcGuire / Pixabay

便秘に対して、食物繊維をたくさん摂るべきであるとか、水をたくさん(1.5リットル!!)も飲めなどということが言われています。

はたして、これらの主張にエビデンスはあるのでしょうか?

厚生労働省のHPに掲載されている「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書には以下の記載があります(炭水化物の項)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

一方、がん、特に大腸(結腸 並びに直腸)がんとの関連についての研究結果は必ずしも一致していない 18,19)。食物繊維摂取量 と大腸がんの発症の関連を単純に検討すると有意な負の関連が認められたが、葉酸・赤身肉・牛 乳・アルコールの摂取量の影響を考慮すると、この関連は有意ではなくなったとする報告があり、 結果が一致しない理由の一つであろうと考えられる 18)

食物繊維摂取量が排便習慣(健康障害としては便秘症)に影響を与える可能性が示唆されてお り、食物繊維摂取量と便秘症罹患率との関連を横断的に検討した疫学研究では、摂取量と便秘症の 罹患率との間に負の関連を認めたとする報告がある 20)。その一方、我が国の研究では両者の間に 関連を認めていない 21)

食物繊維と重症化予防との関係:介入研究では、食物繊維 20 g/日で糞便重量が増加し、良好な排便が期待できるとした報告があ る反面 22)糞便重量の増加は認められるが便秘が改善するとは結論づけられないとした報告もあ る 23)

先ずは、”便秘”の定義について

便秘については国際ガイドラインがあります
http://www.worldgastroenterology.org/constipation.html

この中でRome IIIという診断基準が記されてます

CapturFiles-201508216_1008

以下は、厚労省の食事摂取基準の食物繊維の箇所で引用されていた論文です。

Yang J, Wang HP, Zhou L, et al. Effect of dietary fiber on constipation: a meta analysis. World J Gastroenterol 2012; 18: 737883.

Dietary fiber intake can obviously increase stool frequency in patients with constipation. It does not obviously improve stool consistency, treatment success, laxative use and painful defecation.

要点:便秘に対する食物繊維の効果についてのメタ解析

食物繊維の摂取は有意に排便の頻度を上昇させる。しかし、排便習慣、治療成功、下剤の使用、排便時の痛みについては関連がなかった。

排便時の痛みは負の相関傾向にある(食物繊維を多くとった方が排便時に痛む傾向

Dukas L, Willett WC, Giovannucci EL. Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of women. Am J Gastroenterol 2003; 98: 17906.

Our data suggest that moderate physical activity and increasing fiber intake are associated with substantial reduction in the prevalence of constipation in women.

要点:便秘の定義は週に2回以下の排便←これを便秘として定義するのはどうなの?

適度な運動と食物繊維の摂取が女性における便秘を改善するとの結論だが、単に排便回数が増えただけ?

Murakami K, Sasaki S, Okubo H, et al.; the Freshmen in Dietetic Courses Study II Group. Association between dietary fiber, water and magnesium intake and functional constipation among young Japanese women. Eur J Clin Nutr 2007; 61: 61622.

After controlling for a series of potential confounding factors, we found that a low intake of water from foods and magnesium was associated with an increasing prevalence of functional constipation. In contrast, no association was seen for dietary fiber, total water and water from fluids.

要点:食物に含まれている水分量とマグネシウムの摂取不足は機能性便秘に関連していた。一方食物繊維の摂取、全水分摂取量、液体からの水分摂取量は便秘と関連しなかった

便秘をRome I-defined functional constipationで定義

結論:

食物繊維をたくさん食べると、排便の頻度や排便量が増えるのは当然です。しかしそれがイコール便秘の改善といえるかは否です。また水分をいくら飲んでも便秘に改善はありません。これは当然のことで普通水分たくさんとって下痢する人はいないですから。全部小腸までで吸収されてしまいます。逆に食物繊維を多くとると排便時の痛みが強まる可能性が示唆されています。

 

 

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